アドミュージアム東京で開催されたトークイベント「価値観の拡張」を通して心に感じたこと
アドミュージアム東京では、常設展と併せて定期的に企画展示が開催されており、今は、2024年8月31日までの期間限定で「これって広告？！」展 ―拡張する21世紀の広告クリエイティブ―」が行われています。
今回参加したトークイベントは、こちらの企画展示でも取り上げられている「価値観の拡張」をテーマにしたもので、5月1日に開催されたトークイベント「リアルとメディアの拡張」に引き続き、今回のトークイベントも、非常に楽しく拝聴させていただきました。
トークイベント内容
- タイトル
- 価値観の拡張：この20年で変わったこと、多様性時代の広告表現
- 概要
- 第二弾のテーマは、「価値観の拡張」。
ステレオタイプな「らしさ」 からの脱却、ジェンダーはじめ様々な意識変化・価値観の変化。めまぐるしく変化し続けてきた過去20年の広告表現やメッセージを通してそれらの変化をみなさんと一緒に紐解きます。国内はもちろん、普段目にすることのない海外の事例も紹介します。21世紀初頭の価値観の激変と、これ から先の未来の意識が垣間見えるトークです。 - ゲスト
- 大橋 久美子さん
- ファシリテーター
- 須田 和博さん
- 主催
- アドミュージアム東京
- イベント情報
- 価値観の拡張：この20年で変わったこと、多様性時代の広告表現（イベントは終了しています）
感想
伝えることよりも、所謂「バズらせる」ことが目的になっている広告が散見される昨今において、広告の真骨頂である「感情を喚起し、行動を促すこと」がいかに重要であるかを本イベントを通して、改めて心に浸透させることができました。
今の時代に何かを発信する際には、いくつもの視点を持ち、誰かを傷つけたり不快にさせたりといった、危うい要素の間を縫うように進みながら発信するクリエイテイブが求められます。
4マス時代よりも発信の手法も多様化しており、プラットフォームが自由で選び放題な分、どれを使ってどう発信するかも要になってきており「自由でありながら制約が多い」という現状には「いやはや難しい...」と思わずにはいられません。
それでも、広告の力によって誰かの心に何かを置くことができるのは確かで、今回のイベントを聞いていた人の中にも、日常の視点が少し変わったり・広がったり・何かに気が付いたりする方が、きっと沢山いたと思います（かく言う私もそのうちの1人）。
1時間半という限られた時間で、これほど心が動かされることは中々ない...。こんな素敵な時間を提供してくださった、ゲストやファシリテーター、主催者の方々には、深く感謝申し上げたいです。
備忘録として
トークイベントで紹介された内容のなかで、特に心に残ったものをいくつか掲載しておきます。
- ① 「フィアレス・ガール Fearless Girl (恐れを知らぬ少女)」
- ウォール街に佇む「恐れを知らない少女」の像。彼女が対峙しているものとは何か？
- ② イギリスの広告基準協議会（ASA）による広告規制
- 'Harmful' gender stereotypes in adverts banned
- ③ PANTENE ブランドストーリー
- #１０００人の就活生のホンネ
- ④ ダヴ リアルビューティースケッチ
- 「自分の容姿を言葉で説明してください」と言われたら、あなたはなんと答えますか？
- ⑤ ユニリーバ プレス&メディア
- ダヴは「ありのままの女性の美しさ」を伝えるために、 すべての広告で画像加工をしていません。
- ⑥ Indeed（インディード）
- 守らなくていい職場の “謎ルール” ブック
- ⑦ LIFULL 年齢の森
- 対話から考えるエイジズムのこと
- ⑧ サイモン・シネックとゴールデンサークル
- TED「How great leaders inspire action（優れたリーダーはどうやって行動を促すか）」
- ゴールデンサークル理論とは
- ⑨ 『戦略的ブランド・マネジメント』ケビン・レーン・ケラー 著
- 「ブランドの強さを本当に決めるのは、消費者がブランドについてどのように考え、感じ、行動するかである」
本イベントで紹介された広告のうち、ジェンダーやルッキズムをテーマにしたものは、まだまだ理解が得にくい現状や、海外と比較して日本は遅れているということを再認識できたのもよかったなぁ
そうだね！イベントのテーマでもあった「価値観の拡張」を実現するには、企業の発信も大切だけれど、一人ひとりが自分の目の届く範囲からでも、ステレオタイプを払拭していく意識も大切だね
アドミュージアム東京について
アドミュージアム東京は、「広告を通して新しい発見に出合う場所。世界に例のない広告ミュージアム」をコンセプトに2002年に開館したミュージアムです（2017年に全面リニューアル）。
普段はもっぱらウェブに関わる仕事をしている私ですが、たまたま紙媒体の仕事をする機会があり、その際に紙の奥深さや限られた領域に情報を落とし込むことの難しさを体感しつつ、改めて「広告とは何だろう？」と考えた時にアドミュージアム東京の存在を知り、足を運んでみたのがこの場所との出合いでした。
B2Fの展示スペースは、日本の広告の歴史を見ることができ、B1Fのライブラリーでは、広告・マーケティングに関する書籍が閲覧できるようになっており、何時間でも楽しめる空間です。
「広告」というものがどういう歴史があり今の形になったのかや、日本と世界の広告の違い、これからの広告の在り方など、様々なことが吸収できる場所で、業種・職種問わず「伝えること」を生業にしている方にはぜひ行っていただきたい場所です。
施設情報
- ホームページ
- https://www.admt.jp/
- アクセス
- 東京都港区東新橋1-8-2カレッタ汐留 内（Googleマップ）
- 予約
- オンラインから要予約 ※入館料は無料です
- 開館日
- 火曜日～土曜日 12:00 - 18:00 ※最新の開館情報はホームページをご確認ください
ただ見るだけじゃなくて、ちょっとした体験スペースがあって充実しているよ
ライブラリーも充実しているよね！ずっと滞在できちゃうね